秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「ん? どうしたんだ?」
「あの……お金なんだけど。あとで払うから」
「何言ってんの。払わなくていいよ」
「でも――」
いくらだったか分からないけれど、相当な金額になっているはず。それを恋人とはいえ安易にもらえないよ。
「俺が買いたいから買っただけ。友里に心配されるほどお金に困っていないから安心して」
そりゃあ、あのマンションに住んでいるくらいだから、ある一定の年収がないと入居できない。
それに小野寺グループの社長になろうとしているような人だし、私の想像を超えるような生活をしているに違いない……けど。
「本当にありがとう」
「いいよ。今日買った服を着て、俺の隣にいてくれるだけで買った甲斐があるし、嬉しいんだから」
「うん」
優しく頭を撫でられ、頬が赤く染まる。
「本当は下着も選びたかったんだけどな」
「ええっ」
「友里にはいろいろと着てほしいものがあるから……」
「直樹のバカッ」
冗談だよ、と笑う直樹を叩いて、私も笑う。