秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
名前を呼ばれてしまい、血の気が引く。
声のする方を恐る恐る見てみると、そこには天野さんが立っていた。
この人には見つかりたくなかった。
顔を隠していたのに、どうしてわかったのだろう……。
天野さんの顔を見つめて愕然としていると、にっこりと微笑みかけられた。
「あれ? 今日日曜日だからお休みだよね? それに……あ、この子が樹里ちゃん?」
私と手を繋いでいた樹里を見つめて、天野さんはしゃがみこんで顔を覗き込む。
「こんにちは、樹里ちゃん」
「……こんにちは」
「わぁ、可愛いね。僕はママのお友達の天野です」
ニコニコと笑顔を崩さず樹里に話しかけている天野さんが怖くて、このあとどうすればいいだろうと頭の中で考えを巡らす。
直樹と一緒にいるところを見られて、完全に私たちの関係がバレてしまっているはずだ。言い訳をするのも変だし、かといって正直に話すのもおかしい。
直樹も私の様子を窺いながら、どう出るか考えているみたいだった。