秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「はぁ……驚いた」
「遭えてあまり口を挟まなかったけど……それでよかった?」
「うん、大丈夫。ありがとう」

 直樹が話に積極的に参加したら、何か変な空気になっていたかもしれない。断っているとはいえ、天野さんは仲良くしようとしてくる人物だ。それが本気なのか冗談なのかわからないけれど。

「あの人って……このマンションに住む天野っていう人だよな?」
「直樹知ってるの?」
「会社の女性が彼のことを格好いいって騒いでいてさ。それで」

 天野さんはその業界ではちょっとした有名人で、テレビに出たりしている人だ。女性に人気だと聞くし、直樹の耳に入っていてもおかしくない。

「友里のことを口説いていたよな? 最近は大丈夫?」
「うん……。まぁ、そうだね」
「歯切れ悪いな。気をつけておかないといけないな」
「うん」

 私たちが一緒にいるところを見られてしまった。入居者さんと個人的に仲良くしていることを会社に言われてしまえば、問題行動として注意を受けることになるだろう。
< 185 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop