秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
20.新生活
それから一週間後。
「ねぇ、直樹、樹里。起きて」
「ううん……」
今まで私と樹里だけの生活のときは、私が早くから起きているせいで、樹里も早い時間に目覚めてくることが多かった。
しかし直樹と三人で住むようになった今、キングサイズのベッドで川の字で寝ているので、私が抜けても隣に直樹がいる。
人のぬくもりがあることに安心しているのか、樹里はなかなか起きなくなってしまったのだ。
温かな布団の中でふたりが寄り添い、気持ちよさそうに眠って、なかなか起きないのが悩みどころ。
「もう、朝だよ! ふたりとも起きないと、遅刻しちゃうよ」
「はーい」
寝ぼけまなこで返事をする直樹。
こんなふうに寝起きのリラックスした彼を見られるなんて、私は特別な存在なんだなと実感する。
いつもはキリリとしている彼が、眠そうにむにゃむにゃ言う姿は可愛い。気怠い感じなのに色気が溢れていて、朝からドキドキさせられてしまった。
「友里、起こして」
「え……?」
手を伸ばしてくる直樹に近づくと、腕をぐいっと引かれる。そしてそのまま頬にキスをされた。