秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「はい、小野寺です」
『お世話になります、きらり保育園です。すみません、お迎えの時間が過ぎているのですが、今日の樹里ちゃんのお迎えはどの方が来られますか?』

 お迎えの時間が過ぎている?

保育士からそう言われて、急いで壁の掛け時計を見る。現在時刻六時を過ぎたところだ。この時間になってもまだお迎えに行っていないなんておかしい。

 友里の仕事は四時半には終わる。それから迎えに行っても、五時すぎには到着できるはずだ。
どこかに用事があったとしても、こんな時間まで迎えに行かないなんてあり得ない。それに何かあったのなら、俺に連絡が入るはずだ。

「遅くなってしまい申し訳ございません。すぐに迎えに行きます」
『はい、よろしくお願いします』

 これ以上保育士に迷惑をかけるわけにもいかないし、樹里を置いたままにできない。

 急いで退社準備をして席を立つ。幸い今日はこのあと何も予定がなかったので、秘書に帰る旨を伝えてすぐに会社を出た。
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