秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
 会社の地下駐車場に向かい、車に乗り込む。そして車に乗ると同時に携帯電話をBluetoothに接続してスピーカーに切り替える。

そして友里にコールをするけれど、何度電話しても出ない。

 まだ仕事中か? 何か仕事でトラブルがあったのか?

 そう思いながら、マンションのコンシェルジュカウンター直通の電話番号に電話をする。

『はい、コンシェルジュカウンターです』

 受話した相手は樹里ではなく、別の女性だった。

「5201号室の小野寺です。すみません、本日、松岡さんはご出勤されていますか?」
『申し訳ございません、松岡はすでに退勤しております』

 何だって? もう帰っている?

 それなのに、樹里を迎えに行っていないなど、奇妙なことが起こっている。帰りに事故にあったのではと嫌な胸騒ぎがし始めた。

『何かございましたでしょうか?』
「いいえ、大丈夫です。ありがとうございます」
『はい、では失礼いたします』

 電話を切ったあと、とりあえず急いで保育園に樹里を迎えに行く。そして樹里を引き取ったあと、車に乗せて自宅のマンションへと向かった。
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