秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「ねぇ、なおくんー。ママ、どこ?」
「今日、用事があって、出かけているんだよ。樹里ちゃんは何か聞いてない?」
「しらない」
「だよね……」
何も言わずにどこかに行くなんて友里らしくない。これはまさか本当に事故に巻き込まれたのではないかと心配になってくる。
いつも通る道から帰っても、特に事故があった形跡などはないし、この周辺で事故が起きている様子もない。
――友里、どこに行ったんだ?
不安を募らせるけれど、樹里に伝わってしまってはいけないと、その心を押し隠す。
マンションに戻って駐輪場を覗きにいってみると、そこには友里の自転車が停車していた。
もしかして部屋の中にいたりして?
体調が悪くて寝込んでいるのかもしれない。
そんな期待をしながら部屋に戻るが、部屋の中には誰もおらず、帰ってきた形跡すらない。
いよいよ本格的にいなくなったことを思い知り、危機感を覚える。
友里を探さなければ。