秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
自転車がここにあるということは、徒歩、もしくは電車やバスを使ってどこかに行った?
それとも、車……か?

 友里は運転免許証を持っていないから、誰かに運転を頼まないと車移動はできない。

 そんな頼めるような友人がいると聞いたことはないが――。

 想いを通じ合わせて愛し合っているとはいえ、友里のことで知らないことが多いと痛感する。彼女の交友関係をもっと聞いておくべきだった。

「なおくん、おやつたべていい?」
「うん、いいよ」

 ダイニングテーブルについた樹里は、この前買ってきていたマドレーヌを食べ始めて嬉しそうにしている。

その間に、樹里の面倒を見てもらえる信頼のおける人物に連絡をしておく。

 今から探しに行くとして、樹里の面倒を見ておいてもらわなければ、身動きが取れない。一緒に行くとなると樹里を振り回すことになるので可哀想だろう。

「樹里ちゃん。ママを迎えに行ってくるから今から来る人と、仲良く待っていてくれる?」
「うん、いいよ」

 しばらくして到着した人物に樹里を任せて、俺はある程度説明を終えたあと家を出た。
< 195 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop