秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 御社に勤めている松岡友里は俺の婚約者であり、家族であること。

今日突然姿を消していなくなってしまったが、更衣室に荷物が置きっぱなしになっていること。

 それらを踏まえて、何かトラブルに巻き込まれたのではないかという疑念を抱いていることを告げる。

「監視カメラの開示をお願いします」
『直樹さんの恋人か……。あなたもそんな年になったのね』

 水原氏の様子を窺いながら、イェスかノーか緊張しながら待つ。
同じグループ会社の人間とはいえ、部外者の俺に許可をしてくれるほど人情味のある人かどうかは分からない。断られる可能性だって十分にある。

 しかしここで断られてしまえば、探す手立てが消えてしまい、闇雲に捜すしかなくなってしまう。

 どうか、許可してくれ――

 そう願っていると、水原氏は電話越しに噴き出した。

『今ね、こちらから、あなたの様子が見えるの。本社では監視カメラが確認できるようになっているのね。……とても心配そうな表情をしているのが見えるわ』

 周囲を見渡すと、天井のほうに一台のカメラを見つけた。あれでこちらの様子を見ているのか、と確認する。
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