秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
22.危機
静かな空調の音が聞こえる。

先程までは水の流れる音がしていたけれど、それも止まったようだ。今は風の流れる音だけで、それ以外の音は聞こえない。

 深く眠っていたようで、瞼が重くてなかなか目を開くことができない。

ゆっくりと目を開けても視界が定まらず、霞んでいる。

 ぼんやりとしながら部屋の中を見てみると、部屋の中は真っ暗だ。私はどこにいるんだろうと、体を動かしてみると、ベッドの上で仰向けになっているようだった。

 しかし四肢は縄で拘束されていて身動きが取れない。その状況を理解し始めて、だんだん覚醒していく。

 何、これ……?
 私、どうなったの?

 三時すぎごろに天野さんから部屋まで来てほしいと言われ、急いで向かった。

そして部屋のインターホンを鳴らして、部屋の中から彼が出てきたところでブラックアウトしたような気がする。

 彼に襲われた……?

ハンカチか何かで口元を抑えられた記憶があるので、それで気を失ったのかと理解した。
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