秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
空調は適温にされているはずなのに、嫌な汗が止まらない。

「ねぇ、友里。どうして僕以外の男と一緒にいたの? 僕が怒らないとでも思った?」

 一方的に話しかけられて、その内容も屈折していて、どう話していいか分からない。
彼の言葉に全否定をしてしまうと、火に油を注ぐ結果になりかねない。

 出方を間違ったら、取り返しのつかないことになってしまいそう。

「アイツって、小野寺グループの御曹司みたいだね。自分で何も努力せず会社を手に入れて、金持ち培養されてきたような男だよ。あんな奴のどこがいいわけ?」

 直樹のことを事細かく調べたようで、彼の粗探しをして吹聴してくる。

だけど私は直樹が何も努力をしていないとは思わない。

 昔から直樹は勉強に関しても努力家だったし、自分が恵まれた環境にいると理解しつつ、周りに感謝を忘れない人だった。

 その上で、自分に求められていることをよく理解し、会社の未来のために海外に行って勉強したり、今だって別会社に行って社会人経験を培ってきたりしている。
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