秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「ごめんね、心配かけて」
「友里が謝ることはないよ。友里は何も悪くない」

 そう言って、優しく頭を撫でてくれる。温かくて大きな手に撫でられていると、とても安心する。

「友里が見つかるまで生きた心地がしなかった。本当によかったよ……」
「助けてくれて嬉しかった。ありがとう」

 彼の腕が緩まって、顔を上げると目が合う。疲れただろう、とソファに座るように促された。

「エランの社長に、見つけたらすぐに警察を呼ぶように言われたのに、待っていられなくて突入してしまった。友里を助けるのは俺じゃなきゃ嫌だったんだ。だめだなー、友里のことになると周りが見えなくなる」
「直樹……」

 私も逆の立場だったら、必死で探し回っただろうし、直樹を助けたいと危険を顧みず助けにいっただろう。

「こんなときに言うのはよくないと思うけど……俺はすぐにでも結婚したい。友里の旦那として、ちゃんと友里と樹里と守りたいんだ」

 同居してくれているだけでも、幸せなことだと思う。それなのに籍を入れたいと望んでくれて、とろけてしまいそうなほどの幸福感に包まれる。
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