秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「強要したくないし、友里たちの気持ちが向いてくれるまで待とうと思っていたけれど、今回のことがあって早くちゃんと家族になりたいと思ったんだ」
「直樹は……それでいいの? 無理してない?」

 私が勝手に子どもを産んだから、責任感でそう言っているんじゃないかという不安が消えない。

私がいなければ、もっと相応しい相手と結婚できたかもしれないのに。

「無理なんてしてない。友里がいいし、友里以外とは結婚したくない」

 何も迷いもないまっすぐな瞳に捉えられて心を打たれる。

彼の誠実で真剣な想いを受け止めて、今まで私が悩んでいたことは杞憂だったことに気づく。

「樹里を産んでくれていて、俺たちの確固たる絆を残してくれていたことに感謝する。そんな友里を心から愛しているし、これからもずっと愛し続ける自信があるんだ」
「うん……」

 嬉しい言葉たちに、涙が零れていく。

 私も直樹を愛しているし、これからもずっと愛していく自信があるよ。

だってあなたがいなくても、この先ずっと愛し続けるって思っていたくらいなんだから。
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