秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
ネクタイを緩める直樹は、安堵のため息をついた。やっとリラックスできたようで、ソファに体を預けて脱力した。

「お風呂に入ろうか」
「そうだね」
「……一緒に入る?」

 まさかそんなことを言われると思ってもみなかったので、ボンっと爆発したみたいに顔が熱くなった。きっと私、赤面しているに違いない。

「バカ!」
「冗談だよ。……本当は入りたいけど」

 いたずらそうに笑う直樹につられて、私も笑う。

「やっと笑った」
「……あ」

 そう言えば、ずっと緊張しっぱなしで笑っていなかった。
ずっと気持ちが張りつめていたのだということに気づく。

「友里を抱き締めて眠りたい。ちゃんとここにいるんだって実感しながらじゃないと、眠れそうにない」
「うん」

 真剣な表情に変わった直樹は熱く見つめながら、まだ熱の引かない私の頬を撫でた。

「好きだよ、友里」

 彼の顔が近づいてきて、自然と目を閉じる。

そっと柔らかなくちびるの感触がして、その甘いキスに溺れていく。

 二人きりの時間。

 離れるのが惜しくて、結局ずっとくっついていた。無事だったことを喜び、そしてお互いを大切に想う気持ちをぶつけあって、私たちはベッドの中で抱き合いながら眠りについた。
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