秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「実は……樹里は俺の実家にいる」
「え……?」

 私が今回の事件に巻き込まれたとき、直樹は探し回るために樹里のことは信頼できる人に任せていると聞いていた。

てっきり私はどこかの保育施設、もしくは顔見知りのシッターさんに頼んでいるものと思い込んでいた。

 まさか彼の両親だったとは――

「ご両親は大丈夫なの?」
「心配しなくて大丈夫。今から見てみれば分かるよ」

 何かを思い出して吹き出しそうになっている直樹を見て不思議に思うけれど、彼がそう言うなら大丈夫なのだろう、と受け止める。

 五年前に一度訪れたことのある、小野寺邸に到着し、中へと入っていく。
家の内装は細やかなメンテナンスをされているようで、五年経った今のほうがより綺麗になっている気がする。

 玄関も、廊下も和の雰囲気を大事にしつつ、モダンなデザインになっていてオシャレだ。

「ここだよ」

 案内された部屋の扉を開けると、そこには可愛らしいピンクで統一された女の子の部屋があった。
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