秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「ママ!」
部屋の真ん中でおままごとをして遊んでいた樹里が私に気がつき、一目散に走って脚元に抱き着いてきた。
「ただいま、樹里。ごめんね、急にいなくなったりして」
「あいたかったよ、ママ」
目線を合わせるようにしゃがみ込み、涙を浮かべる樹里を抱き締める。
まだ四歳なのに、一人でお泊りなんて寂しかっただろう。小さな体をぐっと抱き締めて、そのぬくもりに再び会えたことに安心する。
「友里さん、無事で本当によかった」
樹里と抱き合っていると、上の方から直樹のお母さんの声がしたので顔を上げた。
久しぶりに見る直樹のお母さんと初対面のお父さんに挨拶をするため、急いで立ち上がった。
「ご無沙汰しております。この度は、何と言っていいか……。いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げる私に慌てるふたりは、「顔を上げてほしい」と声をかけてくれる。
「謝らないといけないのは私よ。五年前にあなたに酷いことを言ってしまった」