秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
憧れの気持ちは大きくなるばかりで、彼への恋心は日に日に膨らむ。しかしその気持ちを明かすことはなく、あくまで友人として接し続けた。
卒業式に、彼を呼び出して告白している女子を何人か見かけたけれど、女子たちが涙を零している姿を見て、皆玉砕したのだと思い知る。
胸に温めている気持ちは、彼女たちと同じ熱量を持っている。
だけど私にはそんな勇気はない。このまま素敵な思い出として胸の奥にそっとしまっておくことしかできない。
最後の最後で好きだと言ってしまったら、せっかく築き上げてきた友人関係にヒビが入ってしまう。
それを恐れて遠くから見ていた。
――意気地なし。
心のどこかでそんな言葉が聞こえた。
結局は自分が傷つきたくないだけなのだけど、この気持ちを粉々にしたくなかったのだ。
そうして私たちは卒業した。