秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「友里ちゃん、お母さん似で綺麗だね。よく似合ってる」
「本当ですか? 変じゃありませんか?」
「全然変じゃないよ! とても素敵だよ」

 母の隣にいるのは、松岡さんという母の昔からの友人の男性。学生時代の友達だと聞いていて、いつも男手が必要なときに助けてくれる良きおじさん。
……って言ったら怒られるかな? 母と同じ年だから、現在四十一歳。

 今日は私の成人式。

 着物のお金ももったいないし、行かないでおこうと思っていたのに、母が私に内緒で準備をしてくれていた。

 私の晴れ姿を見にきてくれた松岡さんと、母は、顔を見合わせて嬉しそうに微笑む。母の目には涙が浮かんで、今にも泣き出しそう。

「友里もこれで一人前の大人ね」
「ありがとう、お母さん」

 大学生だから、まだ楽をさせてあげられないけれど、働き出したらお母さんにたくさん恩返しするからね。
片親で私を育ててきたことは、本当に大変だったと思う。

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