秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 何度かメールのやり取りはしたし、食事に誘われたこともあった。だけど二人きりで食事なんてする間柄でもないし、畏れ多くてその誘いに乗れなかった。

適当に誤魔化してフェイドアウトしてしまったのだ。

 食事に誘ってくれたのも、きっと社交辞令だ。勉強を教えるという目的がなくなった今、個人的に会う理由ないのに、気を遣ってくれていたのだと思う。

 今日だって、会えても声はかけられないだろうな。
もう私のことなんて忘れているかもしれない。それでもいい。一目、彼を見たい。

 そんな男性になっているか、楽しみ。

成人式の会場に着くと、たくさんの人たちで溢れており、その中で保育園時代の友達や小中学生時代の友達など、懐かしい面々に出会えた。

「友里ちゃん、久しぶり」
「わぁ、久しぶり!」

 みんな綺麗になっていて驚く。髪の色だって明るい色に変えて、あか抜けて、ぐんと大人になっている。

 だって二十歳だもん。いつまでも子どもじゃない。昔みたいに校則があるわけじゃないし、好きな格好ができる。学生時代と違って当然だ。

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