秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
 懐かしい話に花を咲かせたあと、私たちは成人式に参加した。
厳粛な空気の中、私は目を動かして小野寺くんを探していた。

……いないな。もしかして、まだ日本に帰ってきていないのかな?
 それとも、午後からの部に参加するのかな?

 同窓会では会えるかな、と期待しながら、夜になるのを待つ。浮足立っているせいか、ずっとドキドキしたまま過ごしていた。


――そして夜。

 入ったことのない高級なホテルのトイレで緊張しながらメイク直しをする。と言っても、私が持っているのは色がつくタイプのリップクリームくらいなのだけど。

 鏡に映る自分を見て、「よし」と気合いを入れた。
 ふかふかの絨毯の床を歩きながら会場へ向かう。

高校の名前と卒業生同窓会と書いてある看板を見つけて、私はその会場を覗く。

 するとその中は、パーティ会場のように煌びやかで、シャンデリアなどがぶら下がっている豪華な空間になっていた。
ずらりと並ぶビュッフェたちは、見たことのないような料理ばかりで、品数もたくさんある。奥にはバーラウンジがあって、バーテンダーが立っている。
そこで好きなドリンクを作ってもらえるようだ。
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