秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
大人は皆、これを飲んで美味しいと言っていることが不思議で、私はまだまだ子どもなんだなと実感する。
コップ一杯のビールを何とか飲み干すと、すこしふわっとした感覚になった。
そんなふわふわした状態で再び周囲を見渡すと、一際目立つグループに目が奪われる。
――誰だろう?
男子が数名いる周りに女子たちが取り囲んでいる様子。その中心の男子が誰なのだろうと見ていると、その人物が振り向いた。
「あ……っ」
そこにいたのは、小野寺くんだった。
思わず声が出てしまい、急いで目を逸らす。私に気が付いていないと思うけれど、咄嗟に逃げるように友達の後ろに隠れる。
一瞬しか見なかったけれど、思い出の中にいる小野寺くんより、何十倍も格好よくなっていて、見ているだけでぶわっと汗が噴き出るくらい全身が熱くなる。
制服姿しか見たことがなかったけれど、スーツを着ていて雰囲気が全然違う。
髪形も明るめの茶色で、サラサラに靡いていて王子様みたい……!
少し派手な印象を受けたけれど、それがまた似合っていて格好よさに磨きがかかっていた。