秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

周りにいる女子たちも、小野寺くんに夢中みたい。そりゃあそうだよね、とても格好いいもの。
それに学生時代から彼は人気者だったから、ああなるのも納得だ。

 私は遠くから見つめるだけで、話をすることはなかった。
 二次会に行くという友達と別れ、私はホテルを後にする。
ホテルのディナーなんて初めてだったし、お酒も飲んだし高揚した気分だ。

最初は場違いなところに来てしまったと後悔したけれど、結果とても楽しかった。
これも人生経験だよね。なかなか体験できないことができたから、勇気を出して参加してよかったと思う。

けれど一つ心残りだったのは、小野寺くんと話せなかったこと。
「久しぶり」くらい言葉を交わせたらよかったけど……。

 あんなに人に囲まれている彼の側に行って話す勇気はない。
残念だけど、彼とはもう会うこともないし、話すこともない。

 もともと私とは別世界の人だって分かっていたし、仕方ないよね……。

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