秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「……わかり、ました」
私がそう答えると、小野寺くんは、にっと白い歯を見せて笑ってみせた。
「じゃあ、明日の十時。マンションまで迎えに行くよ」
「えっ!」
明日⁉︎
明日って……急すぎない?
それにマンションまで迎えに行くって言ってくれたけど、私の家はおんぼろアパートだ。
マンションと言っているのは、私が昔に「ここが家なの」と嘘をついた綺麗な分譲マンションのことだろう。
急な展開に戸惑っていのに、小野寺くんは話を進める。
「善は急げ、だろ? やっと椎名さんと食事に行けることになったんだ。君の気持ちが変わらないうちに行かないと」
小野寺くんの言う通りかもしれない。時間が経って、いろいろなことを考えてしまったら「やっぱりやめましょう」と言い出す可能性がある。
この勢いに乗って行かないと、私は尻込みしてしまうだろう。
「じゃあ、明日ね」
「……はい」
彼の強引な誘いに負けて、明日の十時に会うことになったのだった。