秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
今日は緊張もたくさんしたけれど、楽しかった。まるで夢のような時間だったな。
シンデレラが十二時に王子さまと別れるとき、こんな気持ちだったんだろうなと考える。
魔法が解けて、いつもの自分に戻る。
奇跡のような素敵な時間が終わる……。
もう王子さまと会うこともない。名残惜しい気持ちを抱えながら別れるのだ。
「今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとう。……じゃあ、次は今週末、どうかな?」
「え……?」
また会えるの?
今日だけのことだと思っていたのに、また次の誘いがきて胸が跳ねる。
「こんなのじゃ、まだまだ足りない。椎名さんと一緒に過ごしたい」
そんな言葉を言ってもらえて、もう、どうしていいかわからない。
全身が熱くて、嬉しくて、だめだって思うのに舞い上がってしまう。
「……ね? お願い」
またその顔。ああ、もうズルい。その顔、すごく好きだ。
「でも週末はアルバイトをしているから……夕方しか時間がないの」
「じゃあ、その時間に会いに行くよ。それならいい?」
「うん」