秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「うわぁ……。すごいね……」
「そうなのかな? よくわからないけど……でも、まぁ、不自由ない生活を送らせてもらっているね。両親には感謝してる」
口をあんぐりと開けたまま、部屋の隅々まで見渡す私をエスコートして、彼はダイニングルームへと案内してくれた。
直樹のお母さんが私たちを出迎えてくれる。
「いらっしゃい。あなたが友里さん?」
「は、はいっ。いつもお世話になっております」
直樹のお母さんは、年齢を感じさせないくらい美しい人で、シルエットのきれいなワンピースを着ていた。揺れる巻き髪が女性らしさを醸し出し、肌もとても綺麗で思わず見とれてしまった。
「うふふ、そんなに緊張しないで。さ、どうぞ。座って」
直樹のお母さん、私、直樹でテーブルにつく。すると給仕係の人が私たちの前に紅茶セットを並べて始めた。
給仕係の人が来るなんて、まるでお店みたい。目の前に並ぶティーセットも高価なもののようだし、香ってくる紅茶のフレーバーもいつも私が飲むものとは違う。
失礼なことをしないようにしなくちゃ、と緊張で体が強張らせていた。