秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
せっかくできた赤ちゃんと別れるなんてしたくない。
数日頭を悩ませたけれど、刻々と赤ちゃんは育っていく。
つわりのような症状が出始めて、朝起きられないほど体がだるい。
直樹からのメールや電話もきているけれど返せない。もし今会ってしまったら、妊娠してしまったことを言ってしまいそう。
彼に言ってはいけない。
きっと迷惑をかけることになる。それにもし万が一「赤ちゃんのことを諦めよう」と言われたら、私はきっとひどく傷つく。
産みたい。ふたりの赤ちゃんに会いたい。諦めたくない。
つわりで苦しい中、お腹の赤ちゃんへの想いは強くなっていくばかりだ。
でも直樹に迷惑をかけられない。彼の人生を狂わしてしまってはいけない。小野寺グループの未来を背負っている彼に、こんなことを言えるわけがない。
それなら、私たち、今が別れどきなのかもしれない。
赤ちゃんを守るため、直樹と別れる。
まだ二十歳なのに、ちゃんと親になれるか不安で押しつぶされそうになる。父親のいない子にしてしまって寂しい思いをさせるかもしれない。
だけど……
私は赤ちゃんを産みたい。好きな人の子どもを宿せたことに感謝して、大事に育てたい。
この子に全力で愛を注ぐ。どんなことがあっても、この子を守ってみせる。
そうして、私は直樹との別れを決心した。