秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

数日後、直樹をカフェに呼び出し、話があると切り出した。

「どうしたの? 最近連絡くれなかったから、心配していたんだ。バイトも休んでいたみたいだね」
「うん」

「顔色悪いし……まだ風邪が治らない? どこかいい病院探そうか?」

 心配そうな表情を浮かべる直樹は、どこまでも優しい。マメに連絡してくれて、それに返事しない私に対して絶対に怒らない。

むしろ私に何かあったのではないかと心配ばかりしてくれる。
 そんな彼の優しさに胸を痛めて、俯いて目を合わせない卑怯な私。

「あの……さ。悪いんだけど、別れてほしいんだ」
「え?」

「私、好きな人ができたの」

 声が震えていることに気づかれていないだろうか。直樹を傷つけるような理由を探して「好きな人ができた」と言うことに決めた。
曖昧なことを言ってしまっては、うまく別れられない。
心変わりしたと言えば、どうすることもできないはず。
 これなら諦めてくれると思ったからだ。

「ちょっと……何、急に。どうしたの?」
「もう直樹のこと好きじゃないんだよね。冷めちゃった……」
「友里……?」

 急にそんなことを言うものだから、直樹の表情は強張り、動揺を隠せないようで目を泳がせている。
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