秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

直樹と別れたあとは、母に事情を説明しなければならない。
この話をどう受け止めるだろうかと不安だったけれど、私の心配をよそに母は気丈に対応してくれた。

 真剣な眼差しで、私のことをまっすぐに見据える。

 聞かれて当然の内容の質問が一通り終わったあと、母は最後の質問をしてきた。

「お腹の中の赤ちゃんは……好きな人の子で間違いないのね?」
「うん」
「そう……。なら仕方ないわね」

 張り詰めた空気の中、大反対されると思っていたのに、そう言われて驚いた。

 母的に望まない相手との子どもなら反対しようと思っていたが、好きな人との子どもならば許してあげようと思ってくれたらしい。

「相手がいなくても産んで育てたいと思えるくらい好きだったのよね? その覚悟ができるくらいの想いだったってことね」
「……うん」
「なら応援する。友里はもう成人したし、自分のことは自分で決めなさい。私は何も言わない」

 お母さん……。
 
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