秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 数年ぶりの再会。カッコよさに磨きがかかっていて、直視できないほどステキだ。

忘れようと思っていたはずなのに、現在進行形でまだ好きなんだということをまざまざと知らされてしまった。

 私が少し離れて俯いている間に、クリーニングする服たちを全て入れ終わったようで声をかけられる。

「じゃあ、よろしく。松岡サン」
「かしこまりました」

 "松岡さん"と呼ばれた……。

明らかに他人行儀で、感情のこもっていない呼び方だ。
 そのことに少し落ち込む。さっきまでは旧姓の椎名と呼ばれていたのに、私たちの間に越えることのできない壁を感じた瞬間だった。

「では、失礼します」
「待って」

 え……?

 呼び止められたことに驚いて顔を上げると、ボックスに添えていた左手を掴まれていた。

私の手に絡まる大きくて太い指先。昔から変わらない男らしいきれいな手に驚いていると、彼がじっと私を見つめていることに気が付いて、視線がぶつかる。
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