秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
結婚しているの?
この家に奥さんや子どもがいる……?
それとも結婚はまだで、恋人がいるとか。
ああ、これから直樹の部屋に訪問する女性がいたら、案内するのは私だ。
それって……何て言うか……かなり辛い、かも。
「はは。何、その顔。……困らせた?」
私、どんな顔しているんだろう。急いで空いている右手で頬を覆う。
「結婚しているわけがないだろう。まだ二十五だぜ。仕事が忙しくてそれどころじゃない」
「そうなんですね……」
正直なところ、内心ホッとしてしまった。
直樹が他の人のものになったと知ったら、きっとひどく落ち込んでいたと思う。
「指輪をしなくてもいいと思われるほど、旦那は余裕なんだな。確か結構年上だったよな?」
握られた手の力が強くなって、ビクッと体を震わせる。
「そう……ですね」
母と同じ年だから、義父は四十五歳だ。直樹に紹介したときは、四十を少し過ぎたときだったはず。
「四十過ぎてこんなに若い奥さんがもらえるなんて、男冥利に尽きるよ。羨ましいなぁ」
キリキリと、また胸が痛む。