秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
どんな奴でも平等にすればいいと思っていたし、興味のない俺は、そんなことばかりに気を取られている奴らを相手にしないようにしていた。
しかし俺の周りに群がる奴らは、親父の会社が大きいからとかそういうのですり寄ってくる人もいる。女子とか、特にそう。
俺のことを見ているのか、俺の家のことを見ているのか疑問だった。彼女たちが言う「好き」はどういう意味があるのか。
告白されても、誰の気持ちも受け入れず、自分から好きになれる子を探していた。
そんなときに出会ったのが、椎名友里だった。
俺たちのような感じじゃなく、一般家庭の子。普通科の女子たちみたいにブランドものの話や、親の自慢などせず、黙々と勉強をしている子だった。
たまに図書室で見かけるようになり、真剣に教科書と辞書に目を走らせている姿に目を奪われた。
――きれいな瞳。まっすぐに伸びる黒髪は美しく、芯の通った強さを感じる。
誰にも流されないという凛とした雰囲気を纏うその姿に、一瞬で心を奪われた。
どうしても仲良くなりたくて、突然呼び止めて「勉強を教えてほしい」と稚拙な誘いをしてしまって、我ながら恥ずかしい。
勉強を教えてほしいと乞うなんて、頭の悪い男だと思われたかもしれない。