秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

しかも結婚をするつもりなのだと言う。

 俺と二股していたということなのか?
そんなにもこの人のことを好きなのか?

 友里の考えていることが分からなくなる。もしかして今、目の前にいる友里こそが本当の彼女なのか?

 俺が見ていた友里は、俺の創り出した理想を押し付けていただけ?

 騙されていた?

 婚約者だという男を紹介して、それ以上何も言えなくなってしまった。俺は邪魔者でしかないことを知らされてしまったのだ。

 幸せだった日々は何だったのか。あれも全部嘘だったのか……。

 それから俺の中にあった友里への想いは、形を変えていく。
 俺は騙された。彼女に真剣な想いを弄ばれた。もう誰も信じない。

本気で愛しても、全力で気持ちをぶつけても相手には伝わらない。恋愛などこんなものだ。

友里を見返せるくらいいい男になってやる。仕事で成功し、上を目指す。反骨精神で俺は今まで以上に勉強に励み、興味のなかった父親の会社経営についても積極的に勉強し始めた。

 もう誰も信じない。もう誰も愛さない。
 愛から憎しみに変わり、友里は思い出すたびに不愉快な気持ちになる存在に変わった。

もう忘れたいのに、ふとした瞬間に蘇る。

 幸せだった日々と、そして最後の裏切りが――
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