秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
こんなに大変な思いをしながら自転車をこいでいたことも、きっと懐かしく思うだろうから、あと少しこのままで頑張ろうと思うのだった。
自宅から保育園までは自転車で十分。大きな坂などない平坦な道なので助かっている。七時すぎに到着して、門まで見送ると、樹里は笑顔で手を振ってくれる。
「じゃあ行ってくるね」
「うん」
「樹里も頑張ってね」
「はーい」
樹里の小さな手を握って、別れを惜しむのはいつも私。
樹里は0歳のころから保育園にいるので、私と離れることにはもう慣れていて全然泣かなくなった。楽しい保育園生活を送ってきてくれることは、とても助かるし嬉しいのだけど、肝心の私が寂しがっているとは……。
「ママ、いってらっしゃい。またね」
「うん、いってきます」
なかなか行きたがらない私にハグをしてくれて、樹里はにっこりと微笑む。その可愛い頬に触れたあと、名残惜しい気持ちのまま保育園をあとにした。