秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「……女の子です」
友里が小さな女の子を連れているところを想像して、少し微笑ましく思う。友里に似た可愛い女の子なのだろうか。
「名前は?」
名前を聞いた瞬間、友里の顔色が変わる。明らかに言いたくなさそうで、目が泳いでいる。
何だよ、俺に知られたくないのか?
別に子どもの名前が分かったからって、何か危害を加えるわけでもないのに、警戒されているのか?
過去に酷いことをしたと自覚があるから、仕返しをされるのではないかと思っているのか。
「言いたくないならいい」
「ごめんなさい……」
そのまま本当に言わなかった。そこは「そんなことない。」と続くところじゃないのか。
そこまで俺に言いたくないのか。嫌われたものだな……。
そもそも最初から俺のことを好きだったかも怪しい。全て演技だった可能性だってある。
好きなのは俺だけだ。それは分かっていたはずなのに……拒まれていることを実感して傷ついている。