秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「……女の子です」

 友里が小さな女の子を連れているところを想像して、少し微笑ましく思う。友里に似た可愛い女の子なのだろうか。

「名前は?」

 名前を聞いた瞬間、友里の顔色が変わる。明らかに言いたくなさそうで、目が泳いでいる。

 何だよ、俺に知られたくないのか?
 別に子どもの名前が分かったからって、何か危害を加えるわけでもないのに、警戒されているのか?

 過去に酷いことをしたと自覚があるから、仕返しをされるのではないかと思っているのか。

「言いたくないならいい」
「ごめんなさい……」

 そのまま本当に言わなかった。そこは「そんなことない。」と続くところじゃないのか。

 そこまで俺に言いたくないのか。嫌われたものだな……。
そもそも最初から俺のことを好きだったかも怪しい。全て演技だった可能性だってある。

 好きなのは俺だけだ。それは分かっていたはずなのに……拒まれていることを実感して傷ついている。
< 86 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop