秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
コンシェルジュカウンターの前に一人の男性が立っている。白いニットにベージュのタイトなパンツを合わせたラフな格好をしているので、ここの住人だと思われる。
髪はミディアムくらいの長さで、金色。会社勤めをしているようには見えないので、御曹司的な何かで仕事をせずとも金持ちなのか、クリエイティブな仕事をしているのではないかと予想する。
厳正な審査があるので、一般人ではここに入居できない。ある程度のランクの人間であることは間違いない。
その男に近づいていくと、友里とその男の会話が聞こえてくる。
「ねぇ、松岡さん。連絡先を教えたのに全然連絡くれないね」
「申し訳ございません。入居者さまと個人的に連絡を取り合うことは禁止されておりますので……」
「じゃあ、今度一緒にランチしようよ。僕、松岡さんの休憩時間に合わせて下りてくるから。近くのカフェでランチしよう」
「それもできないんです。見つかれば処罰されてしまいます」
「じゃあ、見つからないように食事しようよ。僕の部屋で――」