マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
『そういう意味で言ったんじゃないだろ…』
隣でボソリとこぼれた声に、胸が締め付けられた。
その声は、怒っていたわけではない。
困ったような、どこか呆れた声に感じた。
わかってる。
意味なんてないことくらい、ちゃんとわかってる。
この感情はただの劣等感で。
私が勝手に彼女と自分を比べてしまっているだけで。
だけど、どうしようもなく抑えられなくて。
でも、そんな自分は…やっぱりカッコ悪くて。
『ごめん、冗談』
作り笑顔を浮かべ、あははと笑い声を上げると自分の中の黒い感情に蓋をした。