マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
守るべきもの
『えっ!?亜紀もあの時交換してたと思ってたのに』
目をまん丸にして驚く景子を横目に、私はため息混じりに言葉を返す。
『全然…全くだよ。みんながLEINの交換してたことすら知らなかったし』
そう言うと、景子は慌てたように口を開いた。
『そっか…あ!でもほら、私たちにもリュウ君の熱のことは連絡あったし、それについては別に気にしないでいいじゃん?』
『まぁ…ね』
『ただ、大ちゃんが病院に連れてったのは…ちょっと、って感じだね』
幼稚園バスを見送ったあと、朝から出かける用事があった玲ちゃんとは家の前で別れ景子と二人だけになった。
普段から景子には何でも話しやすいこともあり、昨夜の話を自然としていたけれど…景子のその言葉に思わずうつむいてしまった。
『亜紀、大丈夫?嫌だったんじゃない?』
私の心を読み取るような景子の声に、
戸惑いながらも小さく頷く。
すると景子は大きく首を縦に振り『そりゃあそうだよね』と呆れたように口にした。