マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
疑惑の真相
『あっ!パパー!』
『本当だ、何で!?めちゃくちゃ早いじゃん!』
彼女が帰った直後、二階にいた子供達が降りてくると、大地を見つけるなり嬉しそうに駆け寄ってきた。
『今日はママに早く帰ってくるねって約束してたから。超高速でビューン!って帰ってきた!』
『ビューン!って!?』
そう言いながら飛びついた亜矢を抱き上げた大地は「着替えてくる」と私に言うと亜矢を抱えたままリビングを出て行く。
すると亜実もそのあとをテクテクついて行ってしまった。
静かになったリビングを見渡し、ふぅと息をつく。
大地がああ言ってくれて、彼女もすんなり帰ってくれたけど。
これで不安は解消、となったわけではない。
まだ、解決していない問題がある。
『あれ、二人は?』
『うん…映画、見てる』
五分ほどして大地が再び戻ってくると子供達の姿がなく、私とゆっくり話せるようにと帰りに子供向けのDVDを借りてきた話を聞かされ、私達はダイニングテーブルに向き合って座った。
『どこから話そうか』
そして上着についてしまったという口紅の真相を聞くため、不安を抱えながらも大地の目を真っ直ぐ見つめ言った。
『どこからでも』
すると大地は苦笑し「じゃあ…説明するね」と話を始めた。