マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
『あの子、事情は聞いてないけど頼れる親族もいないみたいでさ』
大地は神妙な面持ちで話しているけれど、こっちは事情なんて知らないし、頼れる親族がいないからってしていいことなの?と怒りがふつふつとわいてくる。
『…友達は?親族がいなくても友達の一人くらいは普通はいるよね?』
『いや、それが…別れた旦那さんが相当束縛が激しかったらしくて。友達とも連絡取れないようにさせられてたみたいで結局みんな疎遠になったらしくてさ』
何それ、と疑問にしか思わなかった。
元旦那の束縛が原因?
それならそこから解放された今は、自由になれたわけでしょう?
『おかしくない?彼女は離婚したんだから友達にもちゃんと元旦那さんとのことを話せばわかってくれるんじゃないの?』
友達なら、いくら疎遠になっていたとしても彼女のことを気にかけてると思うし…事情を知れば、きっと理解してくれるはずだ。
『俺にそう言われても…』
『ごめん…でも大地。そこは、同情するところじゃないから』