隣人はクールな同期でした。
―――その頃、煌月と早乙女さんは…
(七星のヤツ
説明がほとんどねぇから
何がどうなってんのかわかんねぇよ)
不平不満を思いながら
まるでストーカーのように
早乙女さんの後を追う煌月。
完全に怪しい男だ。
昨日まで降っていた雨は
未だ振り続けている。
…にも関わらず
早乙女さんは持っている傘を一向に差そうとしない。
「あのアホ…」
見兼ねた煌月は
俯き加減で歩く早乙女さんの隣に近付き
自分の傘をそっとかざした。
「え…ジンくん…?」
「傘、持ってんだったら差せよな」
「うぅ…ジンくん…ッ」
1番会いたかった人に会えた事が
嬉しかったのか安心したのか
目にいっぱいの涙を浮かべながら
煌月にギュッと抱き着いた。
「わたしッ
わたしね…ッ」
何かを伝えたいのか
泣きじゃくりながら一生懸命言おうとするも
なかなか上手く言葉が出て来ない。
「…わかってるから。
何も言わなくていい」
煌月は優しくそう囁きながら
彼女の頭をポンポンと軽く撫でた。
彼女の涙は
朝の雨音にかき消されていった―――