隣人はクールな同期でした。
「アイツに薬を届けたんだって?」

「煌月がそう言ってたんです?」

「俺が聞いたのは
 『頼み事をして来てもらった。
  頭が痛くて、でもまだ仕事が終わらないから
  会社から近い七星を呼んだんだ』って」


煌月…そんな事言ったんだ…。
もしかしてアタシを庇った?


「でもそれを信じたんですか…?」

「そりゃぁ俺だって疑った。
 2人きりになるなって言ったと思うけど
 事実がどうであれ好きな女が深夜に男と2人でいたって
 イヤに決まってんだろ?」


す、好きな女って…
何をちゃっかり告白してくれてんですか。


「でも今日アイツ、かなり熱があって具合悪そうなんだよ。
 それを見れば納得する。
 今は編集長に昨日の事で呼び出されてて
 しばらく解放してもらえないと思うし
 さすがに可哀想だとは思ってる」


マジ…?
昨日微熱はあったと思ったけど
悪化したんだ…。
今日こんな事があって
煌月…大丈夫なの?


「俺が知りたいのは
 昨日この写真を撮った人物に
 思い当たる人はいないのかって事」

「え…?」

「明らかな悪意だろ。
 噂好きの人間なら誰でもあり得る話だけど
 恨みを持ったヤツなら別だぞ?
 誰がこんな事をしたんだよッ」


陽向さんが怒るなんて
なんかちょっと…意外。

でも確かにこの人の言う通りだ。
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