隣人はクールな同期でした。

「煌月こそ
 副編集長まで呼ばれるんだ」

「俺は編集長代理だ」

「え、何どういう事?」

「編集長
 ギックリ腰やらかして来られなくなったんだ」

「ギックリ腰!?
 それはお気の毒に…
 煌月にとっては“ビックリ”だな」

「・・・は?」


す、滑った。
そんな冷ややかな目は冷たいっす。


「俺はこういう場は苦手だ…」

「んな事言ったら
 アタシなんて“場違い”ですけど」


身分とか役職とか
アタシは何も持ってないんだから。
こんな盛大なパーティーに
来るべき人材じゃないって。


「それでいきなり酒飲んでんのか?」

「シラフで乗り切る自信がないからねー」

「こんなところで酔いつぶれんなよ」

「当たり前でしょうが」


コイツまで
アタシをなんだと思ってんだよ。


「それにしても
 煌月のタキシード姿って
 初めて見たかもしんない。
 意外と似合うじゃん」

「“意外とは”なんだ。
 失礼なヤツだな。
 こういう席じゃ当たり前な格好だろ」

「アタシは慣れてないんでね。
 それなりの格好してきたけど…
 浮いてないか心配だよ」


プロには負けます。
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