隣人はクールな同期でした。

「んーッと、こういう場合は
 “もっとゆっくり”だから…
 すろー…と、ぷりーず…だったっけかな」


ヒドイ。
自分で言うのもアレだけど
あまりにヒドすぎる英会話だ。
それどころか
会話になってないレベルだな。


「No problem.
You can rely on me.」
 (問題ないよ。大丈夫、僕に任せて)

「え…」


彼は何かを言ったかと思ったら
いきなりアタシの手首を掴んで歩き始めてしまった。

この人どこに連れて行く気だ!?
もしかして危ない方向に進んでいるんじゃないのか?←今更。


「す、すとっぷッ
 プリーズ!ストップ!」


『やめて、止めて』と自己主張してみるも
男は耳を貸そうとしないし
煌月早く戻ってきてくれ!
カムバックだよ!
通訳プリーズなんだよ!!

しかし思い掛けない救世主が―――


「Could you wait a second?
What are you doing?」
 (ちょっと待って。何しているんですか)


現れたのは煌月…ではなく
陽向さんだった。

冷静だけども少し怒っているようにも見える顔つきで
男の前に立ち塞がっている。


「ひ…なたさん?」


どうして彼がココに…?
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