隣人はクールな同期でした。
「レオの女装は
 モデルの仕事って枠を超えて
 もうほとんど“吹雪レナ”だから
 一緒にいる俺ですら錯覚起こしそうになる」


そ、そんなに?
でもそうか…
この人の女装って
趣味の域を超えたレベルのクオリティだから
騙されるのもムリもない。


「でもウチの会社の人達は
 レオさんの正体を知っているんです?」


隠し通すとか無理でしょ。
有名人の息子なんだから。


「上層部は知ってるよ~
 あとはよくわかんないけど。
 向こう(海外)じゃオレはずっと
“吹雪レナ”として仕事してるからね~
 世間には公表されてないよ~」

「そんな上手くいくモンなんすか…?」


絶対それ
バレるのも時間の問題でしょ。


「まぁ…そうなんだけどねー…」


ハッキリとは言わず言葉を濁すレオさん。
その“間(ま)”に違和感を感じた。
また何か隠しているんだろうと。


「あ、もうこんな時間。
 オレちょっと父親んとこ戻るねッ」


『じゃッ』と手を振り
慌ただしく小走りに去って行ってしまった――
< 255 / 487 >

この作品をシェア

pagetop