隣人はクールな同期でした。
だけどもう
終わった恋だから…


「気に掛けてくれた事は
 ありがとうございます。
 陽向さんの事を心配しているんだなって
 レオさんの優しさもわかりました。
 けれど…」

「『付き合うつもりはない』…だね?」

「はい。
 すみません…」

「セツナさんが謝る事ではないよ。
 だけどオレが話を聞いたとき
 付き合ってた頃の事を思い出してたみたいだったから
 少しは気持ちに変化があったのかと思ったんだけど…」


思い出した…か。
確かに彼の言うとおりだ。

ワインのおかげで記憶は蘇るし
押し倒されたときには
鮮明にフラッシュバックしてくれるしで
複雑な気持ちにはなった。

愛とか恋とか
元に戻りたいとか
そういうんじゃない。


「オレももう2人の話に
 口出しはしないよ。
 あとは本人達の気持ちの問題だし
 決めるのはオレじゃないからね。
 ただ…」


レオさんは言い掛けて
まっすぐアタシの目を見て言った―――


「ちゃんと向き合ってね。
 アルトとも自分自身の”本当の気持ち”にも」


その意味は
何を指していたんだろうか。
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