隣人はクールな同期でした。
いきなりそんな事を聞かれたからか
煌月の事だ。
眉間にシワを寄せ
表情は、しかめっ面に変わっていく。


「仕事中に何だよ」


そんな反応するのは
ごもっともです。


「…いや、ちょっと気になって…」

「ったく、何が『気になって』だ。
 浮かれてんのか?
 こっちはそれどころじゃねぇよ。
 ヒナコもまだ気落ちしてるし
 旅行なんか行ってる場合じゃねぇんだよ」

「…そう。
 浮かれてたワケじゃないけど
 そう見えたなら失礼しました。
 余計な事言ってすみませんでしたね」


そこまで言われるとは思わなかったから
アタシもついムキになって言い返してしまい
勝手にムスッと怒って
その場をあとにしてしまった。


「はぁ…
 何やってんだろ、アタシは…」


そうは言ったモノの
自分の態度に後悔が残る。

悪いのはアタシなのに
いい歳してこんな事で怒るなんて
情けないにも程がある。


「それどころじゃない…か」


その言葉が引っ掛かった。

今は何より彼女の傍にいる事が先決って…
なんか本当に
完全に遠くなった気がするな、アイツと。

< 337 / 487 >

この作品をシェア

pagetop