隣人はクールな同期でした。
「ごめんね!
 お待たせ~!」


片付けを終えたアタシ達は
陽向さんと煌月が
そんなやり取りをしていたなんて知りもせず
2人に水とおしぼりを手渡し
それぞれ席に座った。


「ねぇねぇ~
 2人で何の話してたの~?」


悪気もなく
天然いっぱいに質問した早乙女さんだったけど
アタシは2人の様子に違和感を感じていた。

煌月はさっきと何も変わらないのに
陽向さんは全然違っていて
顔色は悪く瞳に宿る光を失っていたんだ。

この短時間に
何かあった…?


「そんな事よりも、ヒナコ。
 店に迷惑を掛けるなよな」

「はーい
 ごめんなさーい」


そう言って
ずっと黙っていたはずの煌月が
自ら声を出すのも絶対おかしい。

あえて話題を変えた…?


何がどうなってるのか
イマイチ把握出来ないけれど
陽向さんを
このままココにいさせたらいけない気がした。



「ご、ごめん。
 まだ陽向さんと仕事の事で
 やらなきゃいけない事があるから
 会社に戻るよ」


このタイミングで
そんな曖昧な理由だ。
怪しまれるのを承知で
逃げ出す事を選んだ。


「行きましょう、陽向さん」


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