隣人はクールな同期でした。

「今日はいつにも増して
 テンション低ッ」

「お前がテンション高ぇだけだろ…」

「別にいつもと同じだけど」


そもそも普段からアンタとは
温度差があるんだって。
何を今更。


「マスター…
 同じのロックで」


煙草を灰皿に押し付けながら注文した
“ロック”って…


「まさかウイスキー…?」

「…悪いかよ」

「悪くはないけど…
 ロックなんて飲めたんだね」

「…さぁな。
 飲めてんのか俺にはよくわかんねぇけど」

「よくわかんないって…」

「酒のまわりがスゲェ…」


え…まさか。


「何杯飲んでんのさ」

「…さぁ?
 いちいち数えてねぇし
 考えてもなかったから知らね」


いつものように淡々とした返事だけど
明らかな悪酔いだ。

何年も一緒に飲んでるけど
こんな乱暴な飲み方をするヤツじゃない。


「どうしたの…」

「…何が」


言いながら
ほぼ一気に近いペースで
出されたウイスキーを喉に流し込んでいる。


「その飲み方はヤバイって!
 飲むのやめな!」


こんな煌月を初めて見たせいか
思わず少し声を荒げてしまった。






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