隣人はクールな同期でした。
勢いで言ったから
『絶対怒られる』って、覚悟した。


だけど――


「…あぁ、悪い」


え…何…
ビックリするくらい素直だ…


「スゲェ飲み方してんだな…俺」


目が覚めたのか
我に返ったのか
急に自身を振り返りだした。

情緒不安定なの?


「疲れたし
 帰るわ」


そう言って
財布から1万円をテーブルに置いて
ゆっくりと席から立ち上がった。

けれど
だいぶ酔ってるみたいで
足に力が入らず――


「ちょッ!危なッ」


バランスを崩し
倒れそうになったところに手を出すも
男の体重を支えられるはずもなく
アタシまで体制を崩し
一緒に床に転んでしまった。


「ッ痛…」

「悪い…
 大丈夫か?」

「アタシは平気だけど…」


人の心配しているけれど
当の本人の方が
よっぽど大丈夫じゃなく見える。


「…だせーな、マジで。
 目が回る…」


よっぽど酔っているのか
頭を押さえながら
椅子に座るのがやっとの状態だ。


「タクシー呼ぶから
 早乙女さんとこまで送るよ」


スマホを取り出して
番号を打ち込むも…


「いや…マンションでいい」


と、指示された。
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