時には優しく…微笑みを

かけた電話に呼び出し音が、鳴ったのかと思うぐらいの早さで、電話に出た。

「もしもし!櫻井?」

「あ、あの課長、電話すみませんでした。バイブにしてて…電話に」

課長は私の声が聞こえているのか、私の声を無視して喋り続けた。

「何処にいる?迎えに行くから!」

「え?あ、迎え?えぇ!」

課長の勢いに言葉をなくしていた私から携帯を奪った七海が代わって話をしていた。

「菅野課長…齋藤です。朋香固まってるんで、代わりに話しますね。私のマンション分かりますか?はい、えぇ、そこで合ってます。菅野課長が来るまで、ちゃんと捕まえておきますから、安心して下さい。それと、これ以上朋香を泣かせないで下さいね。お願いしましたよ?じゃ」

電話を切った七海は、私に言った。

「菅野課長これから来るから。ちゃんと言いなさいよ?ここまでして来るって事は、だいたい想像つくでしょ?自分に自信持ちな。分かった?」

うん、と私は黙って頷いた。

課長が来る…迎えに。

私の緊張はピークに達していた。
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